先日、新聞の投稿欄で「物価高で高齢者が心配」という声を目にしました。電気代も食料品も値上がりが続き、そのしわ寄せが「食」に向かってしまう——「手を差し伸べる仕組みはないのか」という切実な内容でした。
私はFP2級として家計を見てきて、要介護5の母の食事も支えてきました。栄養と費用、その両立に悩む気持ちは、痛いほどわかります。
この記事では、その投稿者の問いに答える形で、①使える支援制度と、②栄養を落とさず食費を抑える工夫を、できるだけやさしくお伝えします。
※支援制度の金額・要件・実施状況は、年度や自治体によって変わります。最新の正確な情報は、各制度の公式サイトや、お住まいの市区町村・年金事務所・地域包括支援センターで必ずご確認ください。
実は「使える支援」があります
「手を差し伸べる仕組み」は、知られていないだけで、いくつもあります。代表的なものを紹介します。
① 年金生活者支援給付金
年金収入が少ない方に、年金に上乗せして支給される給付金です。
令和8年度の老齢年金生活者支援給付金の基準額は、月額5,620円です。
ただし、実際の金額は所得や保険料納付済期間などによって変わります。
主な要件は、次のようなものです。
- 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
- 世帯全員が市町村民税非課税である
- 前年の年金収入額とその他所得額の合計が一定基準以下である
この給付金は、対象になっていても請求手続きが必要です。
「対象かも」と思ったら、年金事務所やお住まいの市区町村に確認してみてください。受け取れるはずの給付を、申請していないために逃しているケースは少なくありません。
② 自治体の配食サービス・物価高対策
多くの自治体が、高齢者向けの配食サービス(安否確認も兼ねたお弁当の宅配)に助成を行っています。これは、単にお弁当を届けるだけでなく、安否確認を兼ねている場合もあります。ひとり暮らしの高齢者や、食事の準備が難しい方にとって、とても心強い支援です。
また、物価高対策として住民税非課税世帯への給付金が実施されることもあります(時期によります)。
これらは「住んでいる地域」で内容が大きく違うので、市区町村の窓口やホームページを確認するのが近道です。
③ 相談できる窓口
「何を使えるか分からない」——そんなときの最初の相談先がこちらです👇
| 窓口 | 役割 |
|---|---|
| 地域包括支援センター | 高齢者の暮らし全般の総合相談窓口。まずここでOK |
| 社会福祉協議会(社協) | 生活福祉資金の貸付、フードバンク、生活の困りごと相談 |
| 生活困窮者自立支援の窓口 | 家計や生活の立て直しを一緒に考えてくれる |
「相談していいのかな」とためらう必要はありません。こうした窓口は、まさにそのためにあります。
④ フードバンク・地域食堂
食料そのものを支援するフードバンクや、地域の人が集まって食事をする地域食堂・こども食堂も増えています。どこで利用できるか分からない場合は社会福祉協議会や地域包括支援センターで紹介してもらえることが多いです。
栄養を落とさず、食費を抑える工夫
制度と合わせて、毎日の食卓でできる工夫も大切です。
ポイントは、「安くする」だけでなく「栄養を守る」ことです。
- 缶詰・冷凍食品を上手に使う:魚の缶詰(たんぱく質)、冷凍野菜は、安くて栄養があり、日持ちもします。冷凍野菜も、下処理の手間が少なく、必要な分だけ使えるので便利です。
- レトルトの介護食や常備菜を活用する:噛む力や飲み込む力が弱くなってきた方には、やわらかい介護食やレトルト食品が助けになります。作る側の負担を減らすことも、長く続けるためには大切です。
- まとめ買い・特売を活用する:買い物リストを決めてから行くと、ムダ買いを減らせます。ただし、高齢者世帯では食べきれずに傷ませてしまうこともあるため、買いすぎには注意が必要です。
- ふるさと納税は「使える人だけ慎重に」:お米やお肉など、必ず使う食材を返礼品に選ぶことで、食費の助けになる場合があります。ただし、ふるさと納税は税金の控除を受ける制度です。住民税非課税世帯や年金収入が少ない方は、メリットが少ない、またはほとんどない場合があります。利用する場合は、必ず控除上限額を確認してからにしましょう。
要介護5の母の食事を支えていたとき、私も「栄養は落とせない、でも負担も減らしたい」と悩みました。缶詰やレトルト、宅配の食事に、何度も助けられたものです。完璧に手作りしなくてもいい。頼れるものは頼っていい。
介護を続ける中で、そう思うようになりました。

ひとりで抱えず、「相談する」こと
いちばん伝えたいのは、ひとりで我慢して抱え込まないでほしいということです。
「人に頼るのは申し訳ない」と感じる方は多いですが、支援制度も相談窓口も、こういうときのためにこそ用意されています。使うことは、決して恥ずかしいことではありません。
ご家族が離れて暮らしている場合は、地域包括支援センターに一本電話するだけでも、道がひらけることがあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 年金生活者支援給付金は、何もしなくても もらえますか?
A. いいえ、申請が必要です。対象になりそうな方は、年金事務所やお住まいの市区町村に確認してください。
Q. どこに相談すればいいか分かりません。
A. 迷ったら、まず地域包括支援センターへ。高齢者の暮らし全般の相談に乗ってくれる、最初の窓口です。お住まいの市区町村名と一緒に検索すると見つかります。
Q. 親が離れて暮らしています。何ができますか?
A. 親御さんの住む地域の地域包括支援センターに相談すると、見守りや配食、使える制度などを一緒に考えてもらえます。
まとめ:知ることで、つながれる支援がある
物価高は、高齢者の暮らしに重くのしかかります。でも——
- 年金生活者支援給付金などの給付
- 自治体の配食サービス・相談窓口
- フードバンク・地域食堂
こうした「手を差し伸べる仕組み」は、確かに存在します。あとは、知って、つながること。
そして食卓では、缶詰や冷凍、宅配食を上手に使って、栄養を守りながら無理なく。ひとりで抱え込まず、まずは地域包括支援センターに相談してみてくださいね。
参考:厚生労働省「地域包括ケアシステム」・「生活困窮者自立支援制度」など。
制度の金額や対象要件は変わるため、年金生活者支援給付金は日本年金機構、市区町村の支援は各自治体で最新情報をご確認ください。


