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母の楽しみと七夕の願いごと|お中元に込めた感謝の気持ち

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母の楽しみと七夕の願いごと

介護の日々は、何気ない日常の繰り返しのようでいて、小さな変化や発見に心が揺れます。
最近の母を見ていて思うのは、「楽しみ」がどれだけ人を元気づけてくれるかということ。

今日は、そんな母のささやかな楽しみと、デイサービスで見つけた七夕の願いごとについて綴ってみたいと思います。


最近、母の楽しみといえば「食べること」ではないかと思います。毎日ディサービスの献立に目を通す日々。拡大鏡を使って一日何度も見ています。他に新聞やテレビもありますが、やはり一番多く目を通しているのが、献立です。

デイサービスから帰ってくると、まずはその日の献立の話。
「今日はおやつはカステラ」「今日はゼリー」など、
メニューをひとつひとつ思い出しながら話してくれます。

以前よりも会話が少なくなってきた中で、食事の話題がぽつぽつ出てくるのは、とても嬉しいこと。
おやつも夕ご飯も、いつもきれいに完食。食欲があるというのは、ありがたいことです。

もっと楽しみが増えたらいいなぁ…と思う日もありますが、
そんな中でうれしかった出来事がありました。

今年のお中元として、母がお世話になっている3か所のデイサービス施設に、ジュースを1箱ずつお贈りしました。
普段から本当に良くしていただいている感謝の気持ちを込めて選んだ贈り物です。

すると、どの施設の職員さんもとても喜んでくださって、
「ありがとうございました!」と職員さんと会うたびに笑顔で伝えてくださいました。

母にもお礼を言われたようでとても嬉しそうな表情をします。
少しだけ自分も「贈る側」になれたような気持ちがあったのかもしれません。最近人の役に立つことがなかったので、「ありがとう」と言われることがとても嬉しかったようです。

そして、もうひとつ印象的だったのは、デイサービスでの七夕のエピソードです。

ある日、職員さんが母に短冊を書いてくださっていました。
その短冊に書かれていたのは――

「歩けるようになりますように」

その願いごとは、母の車椅子にそっと結びつけられていました。
見た瞬間、胸がキュッと締めつけられるような気持ちになりました。

高望みではないけれど、今の母にとっては大きな願い。
それでも、「願うこと」は誰にでもできる。
願うこと自体が、前を向こうとする一歩なのかもしれません。

短冊を見るたびに、私は心の中でそっと祈っています。
どうか、その願いがほんの少しでも届きますように。
そして、母の毎日に、食べること以外にも小さな「楽しみ」がもうひとつでも増えますように。


介護はときに切なく、ときに温かい。
母の願いが、空の向こうの誰かに届きますように。
そして、感謝の気持ちを少しでも形にして返していけるよう、私自身もできることを丁寧に続けていきたいと思います。


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