「銀行にお金を預けておけば安心」――そんな時代がありました。
私が若い頃、定期預金にはなんと年4%近い金利がついていたのです。安いお給料の中から、毎月1万円だけなんとか預け続けていたあの頃。金融のことなどよくわからないまま始めた預金でしたが、いざ数年後に解約してみると、想像以上に利息がついていて驚いたのを今でも覚えています。
けれど、そんな“貯金すれば自然に増える”時代は、長くは続きませんでした。
気づけば金利はどんどん下がり、今や「定期預金だけではお金がほとんど増えない時代」になっています。
今回はその経験をふまえて、金利とインフレの関係について、私なりの視点でお話ししてみたいと思います。
■ 金利が高かったあの頃
かつての日本では、「銀行にお金を預けておけば安心、しかも増える」というのが当たり前の感覚でした。私が預金を始めた頃も、定期預金の金利は年4%前後。今では考えられないような高さです。
当時の私は、給料がまだまだ少なく、毎月1万円を預けるのがやっと。それでも「将来のために少しでも…」という思いで、コツコツ続けていました。正直、預金に金利がつくという仕組みさえよく理解していませんでした。
ところが数年後、口座を解約した時に驚きが待っていました。
「え? こんなに利息がついてたの?」と声が出そうになるほど。
少ない元本でも、金利の力は大きく、まさに“お金が働いて増えてくれた”感覚でした。

■ 現在の金利…増えるどころか減っていく?
ところが時代は変わり、金利は下がり続け、現在はほとんどの銀行の普通預金金利が0.001%、定期預金でも0.002~0.02%程度が一般的になっています。
具体的に見てみると――
例えば100万円を1年間預けて得られる利息は、たったの10円(税引前)。昔なら1万円預けても数百円ついていた利息が、今ではほぼゼロに等しいのです。
「利息はおまけ」どころか、「ないも同然」になってしまった今、預金だけに頼るのは、少し心もとない時代になりました。
■ インフレとは?お金の価値が減っていく
さらに問題なのは「インフレ」の存在です。
これはモノやサービスの価格が上がっていくことで、同じ1万円でも買えるものが減っていく現象のことです。
最近では、食料品や日用品など、身近なものの値上げが続いています。
「え?このパン、こんなに高かったっけ?」
「ガソリン代がまた上がってる…」
そんな実感を覚えること、増えていませんか?
実際、物価が2%ずつ上がっていくと、5年で10%以上、お金の価値が目減りすることになります。
■ 銀行に預けるだけ=目減りするリスクも
今の金利(0.001%)とインフレ率(仮に2%)を比べると、どうなるでしょう?
利息で0.001%増えても、物価が2%上がれば、実質的にはお金の価値が減っているということ。つまり、ただ銀行に置いておくだけでは、「お金が減っていく感覚」とも言えるのです。
かつて私が感じた「預ければ増える」という喜びは、ほんの数年の間だけの“特別な時代の体験”だったと、今では思います。

■ じゃあどうすればいいの?
もちろん、銀行に預けることが悪いわけではありません。
急な出費に備えた生活防衛資金としての預金は大切です。
けれど、それだけではインフレに勝てない時代になった今、少しずつでも「増やす」ことを意識する必要があると感じています。
「投資」と聞くとハードルが高く感じる方も多いかもしれませんが、我が家では以前から、つみたてNISAやNISAを活用し、毎月少額ずつ投資信託を購入しています。リスクがまったくないわけではありませんが、お金の置き場所を分けて考えることが、将来に備える一歩になると実感しています。
また、子どもの教育資金については、今は廃止されたジュニアNISAも活用しています。制度の改正により、18歳を待たずに解約することも可能になりましたが、私は「教育資金として確実に使う」ことを見据え、18歳までは手をつけない予定です。
■ まとめ:お金の価値を守るには
金利とインフレの関係は、学校ではなかなか教わらないけれど、知っているか知らないかで将来の安心感は大きく変わります。
「預けておくだけで安心」という感覚にとらわれず、
「お金の価値をどう守るか」を家庭でも少しずつ考えていけるといいですね。
次世代に伝えるお金の知恵としても、大切な視点だと感じています。