1. 右半身麻痺の母の「足」となった杖──選び方のポイントと体験談
母が脳梗塞を発症して右半身が麻痺してから、歩くことがとても難しくなりました。
そんな母の足代わり”になってくれたのが「杖」です。杖は、ただの歩行補助具ではなく、
「自分で動く」という尊厳を支える大切な存在です。
値段や見た目だけでなく、実際に持ってみての感覚・使い心地を大切に、本人と一緒に選ぶことを強くおすすめします。

◆ 杖は、ただの道具じゃない。「毎日使う相棒」
最初は「DAISOにも杖があるらしいよ」と耳にしたこともありましたが、やはり毎日使うもの。母の身体を支える大切な道具なので、しっかりしたものを選びたいと考えました。
◆ 母と一緒にお店へ。高さ・持ちやすさを体験して選んだ一本
母と一緒に福祉用品のお店へ行き、実際に手に取りながら選びました。
- 握りやすさ(グリップの形や素材)
- 高さの調整が簡単かどうか
- 見た目が明るく気持ちが上がるかどうか
こうしたポイントを確認しながら、最終的にちょっと高価だけど、おしゃれで丈夫な杖を選びました。
母が「これがいいね」と笑顔を見せた瞬間、「これにしてよかった」と心から思いました。
◆ 杖は自立の一歩を支えてくれる
杖があることで、母は自分の足で歩くことに少しずつ自信を取り戻していきました。
- 「ちょっとそこまで歩いてみよう」
- 「自分の好きな場所へ行ける」
- 「転ばずに立てる安心感」
こうした気持ちの積み重ねが、生活の質を上げてくれるのだと実感しました。
2. 右手が使えなくなった母の「食事」──選んでよかった介護用食器と工夫
母が脳梗塞を発症して右半身が麻痺し、
右手が使えなくなってから、食事の時間が一変しました。
食べるという当たり前のことが、
急に「一人では難しいこと」になったのです。
◆ 箸は使えない。左手での生活がスタート
母はリハビリで箸の練習にも取り組んでいました。
でも、やはり日常生活で使いこなすにはかなりの時間と労力が必要。
そこで、介護用のスプーンとフォークを用意することにしました。
- 持ち手が太くて滑りにくい
- 手首をひねらずに使える角度
- 軽くて疲れにくい素材
といった特徴のものを選びました。
少しずつ使い方にも慣れて、「一人で食べる」という自信も取り戻していったように思います。

◆ 食器も軽くて持ちやすいものへ
お皿やお椀も、普通の陶器では重すぎて持ち上げられず、
プラスチック製や軽量素材のものに替えました。
さらに、以下のような工夫も取り入れました:
- 滑り止め付きのランチョンマットを使って食器が動かないようにする
- お茶碗は深さがあってすくいやすい形に
- 取っ手付きのスープカップで左手でもしっかり持てるようにする
こうしたちょっとした工夫が、母の「できた!」を支えてくれました。
- 左手でも使いやすいものを選択
- 介護用品専門でなくてもOK(ニトリや100均も◎)
- 好きなデザインが「食べたい意欲」にもつながります。

自分の力で食べられる喜びを支えるために
介護の現場では、「できることを減らさない支援」が大切だと感じています。
特に食事は、生活の中でもっとも人間らしさを感じられる時間。
そのためには、使いやすい道具を選ぶこと・無理のない工夫をすることが何より大切です。
母も「これなら大丈夫」「ひとりでできる」と言ってくれるようになり、
私自身も少しずつ、気持ちが明るくなっていきました。
.「すぐに必要!」と焦って買った介護ベッド。私の後悔と気づき
介護が必要と分かったとき、
「まずはベッドを用意しなくては」と思い立ちました。
すぐに福祉用具を扱うお店に足を運び、リクライニング機能のついたしっかりした介護用ベッドを購入。
けれど――結果的に、これは**“ちょっと早すぎた選択”**でした。
◆ リクライニング機能、まったく使わず…
購入したベッドは、確かに高機能。
ですが、母はまだ起き上がりにも自力で対応できた時期だったため、リクライニング機能をまったく使いませんでした。それどころか、ベッドのフレームが重くて、部屋のレイアウトを変えるのも一苦労。「こんなに重いなら、もっと軽い普通のベッドでもよかったかも…」と
内心、じわじわと後悔の気持ちが広がっていきました。
◆ 知らなかった…「福祉用具はレンタルできたんです」
さらに後日、ケアマネジャーさんとの相談で
「福祉用具は介護保険でレンタルできる」ということを知りました。
- 介護度に応じた補助が受けられる
- 状況に応じて交換・返却も可能
- 専門のアドバイザーがアドバイスしてくれる
「そんな制度があったなんて…!」このとき初めて知り、正直ショックでした。

焦らず“相談”を。介護用品選びは、プロの力を借りて
介護生活は、始まりが一番不安で、「とにかく準備しなきゃ」と焦ってしまいます。
でも、**“高価なものを買う前に、まずはケアマネジャーなどに相談する”**ことがとても大切です。
福祉用具は介護度に応じて変わることも多く、
レンタルや補助制度を利用することで、柔軟に対応できます。
私のように、後悔する前にぜひ知っておいてください。
3.衛生管理と気持ちの切り替えに役立った「使い捨て手袋」
在宅介護では、食事の介助やおむつ交換、ちょっとした汚れの処理など、
衛生管理がとても重要になります。
◆ 使い捨て手袋(ニトリル・ビニール)
おむつ替えや汚れの処理などに使う使い捨て手袋は、
私にとって「必須アイテム」です。
最初はもったいないかなと思っていましたが、
手洗いだけでは防げない感染リスクもあると知ってからは、清潔を保つために欠かせない存在になりました。特におむつ替えには欠かせません。また入れ歯掃除にも役に立ちます。
サイズや素材(ビニール・ニトリル・ラテックス)によって使いやすさが違うので、
自分に合ったものを探すのがおすすめです。
4.介護エプロンは“自分と母の安心”をつくる道具
介護中に毎日使うエプロン。
私が愛用しているのは、**DAISOで見つけた「マイエプロン」**です。
◆ 自宅用は機能重視。ポケット付きのグレーエプロン
自宅では、汚れをしっかり防げるポケット付きのタイプを使っています。
グレー一色で、正直あまり可愛さはないのですが(笑)、
- 食事中に何かこぼれてもOK
- サッと洗えて乾きやすい
- 丈夫で長持ち
と、機能面では大満足です。
でも内心、「もう少し明るい色やおしゃれな柄があれば、気分が上がるのにな…」と感じることもあります。
母も本当は、もっと女性らしい、明るい色のエプロンが嬉しいのかもしれません。
◆ 外出用には、使い捨てエプロンを活用
お出かけのときは、使い捨てのエプロンを持参します。
母と外食する時など、服を汚さずに済むのはもちろん、お店のテーブルを汚さないという点でも安心です。
周りから見たらちょっと不思議な光景かもしれませんが、母がリラックスして食事を楽しめることが、私にとっては何より大切なことです。

派手な介護グッズではないけれど、
「使い捨て手袋」や「マイエプロン」のような小さな工夫が、私の毎日をずいぶん助けてくれています。
在宅介護は、日常の積み重ね。
だからこそ、自分が安心して動けるように整えておくことがとても大切なんだと実感しています。
5.歩行器は「移動の安心」と「外出の楽しみ」をくれる相棒
杖のほかに、母の生活を支えてくれたのが「歩行器」でした。
ただ移動を補助するだけでなく、ちょっとした財布や買い物したものも収納できるため、外出時にはとても重宝しています。
母はこの歩行器を使って、近くのコンビニまで買い物に行くのが日々の楽しみでした。
「今日は何を買おうかな」「外の空気を吸うと気持ちがいいね」
そんな会話を交わしながら、ほんの5分、10分の散歩が、母にとってはリハビリにも心のリフレッシュにもなっていたように思います。

【まとめ】「買ってよかった」よりも「使ってよかった」と思える介護グッズを
在宅介護は、想像以上に「日常の小さな困りごと」の積み重ねです。
今回ご紹介した介護グッズ5選は、私が実際に使って「助かった」「これは使いやすい」と感じたものばかりです。中には、買ってみたけれど「ちょっと失敗したな」と思うものもありました。たとえば福祉ベッドは、焦って購入してしまい、結局リクライニング機能が活かせなかったり、重くて動かすのが大変だったり…。
でも、そうした体験こそが「本当に必要なもの」を見極めるヒントになりました。
介護用品は「その人に合っているか」「今の状態にちょうどいいか」が何より大切。価格だけでなく、家族の介助しやすさや、本人の使いやすさを意識して選ぶことが、在宅介護を少しでも快適にしてくれます。
これから在宅介護を始める方や、グッズ選びで悩んでいる方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
最後に──
母の「ありがとう」「美味しかった」の言葉が、今の私の原動力になっています。
これからも、無理をせず、でも前向きに。日々の介護を工夫しながら続けていきたいと思っています。