1. はじめに:なぜ今、読み聞かせが大切なのか
今の子どもたちは、生まれたときからスマホやタブレットが身近にある「デジタルネイティブ」と呼ばれる世代です。動画やアプリで簡単に楽しめるコンテンツが溢れており、本を読むという行為は、どうしても遠ざかりがちです。
便利な反面、言葉のやり取りが減り、親子のコミュニケーションや、子どもの想像力・表現力の育ちに不安を感じる保護者の方も多いのではないでしょうか。
そんな今だからこそ、幼児期の「読み聞かせ」が注目されています。
読み聞かせには、子どもの心を育て、言葉の力を伸ばし、親子の信頼関係を深めるという、たくさんの大切な効果があります。何より、おうちの人の声で語られる物語は、子どもにとって特別な安心感と楽しさを与えてくれます。
忙しい毎日でも、たとえ数分でも本を開いて一緒に過ごすことで、子どもの心は豊かに育っていきます。このブログでは、そんな読み聞かせの魅力と、実際に今日からできるコツをお伝えしていきます。

2. 読み聞かせの効果とは?
読み聞かせは、ただ物語を聞かせるだけの時間ではありません。そこには、子どもの成長にとって大切な「心・言葉・親子の絆」を育む、さまざまな効果があります。
① 心が育つ ― 感情の土台を作る
絵本の登場人物が喜んだり悲しんだりする場面を通して、子どもは「気持ちを想像する力」を育てていきます。
「どうしてこの子は泣いているの?」「嬉しいときってこんな顔をするんだね」と、物語の中で疑似体験をすることで、他者への共感力や感情表現の幅が広がっていきます。
② 言葉が育つ ― 語彙力・表現力の基礎に
絵本には、日常会話では使わないような美しい言葉やリズムのある表現がたくさん含まれています。繰り返しのフレーズや擬音語を耳から聞くことで、子どもは自然と語彙を増やし、言葉のリズムや意味を吸収していきます。
言葉を「聞く」「理解する」「話す」といった力の土台が、読み聞かせによってしっかりと築かれていくのです。
③ 親子の絆が深まる ― 一緒に過ごす安心の時間
何よりも、読み聞かせは親子がぴったりと寄り添って過ごせる大切な時間です。
子どもにとって、おうちの人の声で読む絵本は特別なもの。温かい声、安心できる膝のぬくもり、ページをめくるワクワクした気持ち──これらすべてが、子どもの「安心感」や「信頼感」につながっていきます。
このように、読み聞かせには「心・言葉・絆」の三つの大きな力が詰まっています。たとえ毎日少しの時間でも続けることで、子どもの成長に確かな変化が見られるはずです。

3. 読み聞かせのコツ
「読み聞かせって難しそう」「どう読めばいいか分からない」──そんな声もよく聞かれますが、コツを押さえれば誰でも大丈夫です。大切なのは、完璧を目指すことではなく、「楽しく一緒に読む時間を過ごすこと」です。ここでは、読み聞かせをより効果的に、そして楽しくするためのコツをご紹介します。
① 決まった時間をつくる
寝る前やお昼寝の前など、1日の中で「読み聞かせの時間」を習慣にすると、子どもも自然と絵本を楽しみにするようになります。「今日はどの本にしようか?」と選ぶところから始めるのもおすすめです。
② 声のトーンや表情を変えてみる
登場人物ごとに少し声のトーンを変えたり、びっくりする場面では驚いた表情をしたり。少しオーバーかな?と思うくらいの表現が、子どもにはとっても楽しく感じられます。演技が苦手な方も、気持ちを込めるだけで十分です。
③ 子どもの反応を大切にする
子どもが途中で質問したり、別のページをめくろうとしたりすることもあります。そんなときは無理に止めず、子どものペースに寄り添うことが大切です。読書は「共有の時間」であり、決して一方通行である必要はありません。
④ 同じ本を何度も読んでも大丈夫
「またこの本?」と思うかもしれませんが、子どもはお気に入りの本を繰り返し読むことで、安心感を得たり、言葉を覚えたりしています。同じ本でも読むたびに新たな発見があるかもしれません。
⑤ 本選びは子どもの興味を優先に
大人が読ませたい本よりも、まずは子どもが「読みたい」と思う本を優先してあげましょう。子どもの「好き」は、読書習慣の第一歩になります。図鑑や仕掛け絵本なども取り入れて、幅広いジャンルに触れさせてあげるのもおすすめです。
このようなコツを取り入れ、読み聞かせの時間がより豊かで楽しいものにして欲しいです。
4. 年齢別・おすすめの読み聞かせスタイル
子どもの成長に応じて、絵本の楽しみ方や反応は大きく変わっていきます。年齢に合った読み聞かせを意識することで、より効果的に言葉や心の成長を促すことができます。
下の表は、年齢別に見た子どもの特徴と、それに応じた読み聞かせのコツをまとめたものです。ぜひ参考にしてみてください。
年齢 | 特徴・反応 | おすすめの読み方 |
---|---|---|
0〜1歳 | 音やリズムを楽しむ | 短くて繰り返しが多い絵本を笑顔で |
2〜3歳 | ストーリーを理解し始める | 感情の起伏に合わせて表情豊かに |
4〜6歳 6歳〜 | 自分で読もうとする 絵の少ない本や、長い物語も楽しめるようになる | 途中で会話を挟みながら一緒に楽しむ 絵の少ない本や物語の世界を一緒に想像しながら楽しむ |
ポイント✨
- 無理に進めなくてOK:興味を持ったページをじっくり読むなど、子どものペースに合わせることが一番。
- 好きな本は繰り返しで◎:お気に入りの絵本は、何度も読むことで言葉の定着にもつながります。
- 本以外も活用:図鑑や音の出る絵本、仕掛け絵本など、子どもの好奇心をくすぐる本もおすすめです。

5. 読み聞かせにおすすめの場所・アイテム
読み聞かせを続けるには、「どこで」「どのように」読むかもとても大切です。子どもが本と自然に触れ合えるような空間を整えることで、読書への興味もぐんと高まります。
■ 家の中でおすすめの場所
● リビングの本棚
家族が集まるリビングに本棚を設置しておくことで、子どもの目に入りやすく、自然と手が伸びるようになります。テレビの下やソファの近くなど、目線に合わせた位置に絵本を並べるとより効果的です。

● 寝室の枕元
寝る前の読み聞かせは、親子の大切なコミュニケーションの時間。枕元に絵本を置いておくことで、毎日の習慣にしやすくなります。お気に入りの絵本を数冊、常に取り出せるようにしておきましょう。

■ 子ども専用の読書コーナーを作ろう
子どもが「本って楽しい」と感じるには、自分だけの読書スペースがあると理想的です。
- 小さなマットやクッションを敷いて落ち着ける空間に
- おもちゃとは分けて、本だけを並べるようにする
- できるだけ手の届く高さに絵本を収納
読書は「自分の世界に入れる静かな遊び」。子どもが集中しやすい環境をつくることで、本との距離がぐっと縮まります。
■ 図書館や絵本カフェも活用してみよう
近所の図書館には、絵本や児童書が豊富に揃っているうえ、無料で利用できるのが魅力です。場所によっては読み聞かせイベントも開催されており、プロの読み手から刺激を受けることもできます。
また最近では、親子でゆったり過ごせる「絵本カフェ」も人気です。カフェの落ち着いた空間で、リラックスしながら絵本を楽しむことができます。

◆ まとめポイント
- 子どもの目線に合わせた場所に本を置く
- 読書コーナーをつくると習慣になりやすい
- 図書館・絵本カフェなど外の環境も活用する
6. よくある悩みとQ&A形式で回答
読み聞かせはとても素敵な時間ですが、続けているとちょっとした悩みにぶつかることもあります。ここでは、よく寄せられるお悩みにQ&A形式でお答えします。
Q:じっと聞いてくれません…
A:絵本に飽きるのは自然なこと。無理せず、短い時間でOKです。
→ 幼い子どもはじっと座って聞くのが苦手です。途中で動き出しても、ページをめくらなくても、まずは「本に触れる」「一緒に楽しむ」ことが大切です。5分でもOK。子どもの様子に合わせて、自然に絵本の時間を作ってあげましょう。
Q:毎日読むのがしんどいです…
A:週に3日でも大丈夫。親が笑顔で読めるペースを大切に。
→ 「毎日やらなきゃ」と思うとプレッシャーになりますよね。でも、週に数回でも、続けることが大切。親の笑顔が何よりのごちそうです。忙しいときは、1冊だけ・数ページだけでも大丈夫です。
Q:同じ本ばかり読みたがって困ります
A:それは“お気に入り”の証。繰り返しで言葉も心も育ちます。
→ 子どもは同じ話を何度も繰り返すことで、安心感を得たり、言葉のリズムや内容を覚えていきます。飽きるまで何度でも読んであげましょう。「この本が好きなんだね」と肯定的に受け止めることが、読書好きへの第一歩です。
Q:読み方に自信がありません…
A:上手に読まなくてOK!大事なのは「声」と「時間」を届けること。
→ 演技力も抑揚も必要ありません。子どもにとって大切なのは、親の声で読んでもらうという体験です。「この時間が好き」と感じてもらえれば大成功。優しく、心をこめて読むことを意識すれば、それだけで十分です。
◆ コツは“がんばりすぎない”こと
読み聞かせは「やらなきゃ」ではなく「一緒に楽しむ」時間。無理なく、少しずつ、ご家庭に合った形で取り入れていみて下さい。。
7. まとめ:子どもとの時間を楽しむことが一番のコツ
読み聞かせというと、「ちゃんと読まなきゃ」「毎日続けなきゃ」と思ってしまいがちですが、大切なのは完璧を目指すことではなく、親子で一緒に楽しむことです。
子どもは、大好きな人の声を聞きながら、本の世界を旅する時間を心から楽しんでいます。膝の上でぬくもりを感じながら聞いたあの一冊が、子どもの心の中に“安心”や“想像力”、“言葉の芽”としてずっと残っていくのです。
何気ない読み聞かせのひとときが、親子の絆を深め、子どもにとって一生の宝物になります。
まずは1冊、本を開いてみましょう。
そこから、親子の特別な時間が始まります。
